ここでは、仁張工作所が生業としている板金加工における、素材や加工方法などについてご説明いたします。
①金属素材が加工できるのは・・・金属の素材は、顕微鏡で見ると結晶粒と呼ばれる粒の集まりであり。その構成は、原子が結びついてできたものの集まりである。この集まりの結合力を超える力を加えることで、規則正しく並んだ原子の位置・配列に変化が生じるが、その現象を利用したのが“金属加工”である。金属加工の中で、固体状態の金属を強い力で目的の形状に変化させるのが、“板金”や“鋳造”などの“塑性加工法”である。また、固体状態の金属に熱を与えて加熱すると、原子同士の結合力が弱くなり、原子が動き回るようになり液体化していくが、その流動性を利用したのが“鋳造”である。また、二つの材料を部分的に溶かして、凝固させ接合するのが“溶接”である。
②金属素材ごとの加工のし易さの違い・・・金属の成り立ちの基本は“結晶格子”であり、それは材料毎に異なるので、加工のし易さも、結晶格子の成り立ちで決まる。
・面心立法材料・・・8個の原子が立方体となるよう配置され、かつ立方体の各面の中心にも原子が配置されている。いわゆるマッチ箱構造で、力が加わると変形しやすく、箔の状態まで加工ができる。“アルミ(Al)・銀(Ag)・銅(Cu)・金(Au)”など。
・ 体心立法材料・・・8個の原子で構成される立方体に、面ではなくその重心位置に原子がおさまってる素材。結晶格子の重心に原子が“すじがい”の状態で入っており、変形が難しい。“鉄(Fe)”に代表される。(但し、加熱されると面心立法に変化、加工しやすくなる)
・ 正方格子材料・・・体心立法ではあるが、原子が密に集まっていないので、加工は面心・体心の中間になる。食器等にも加工される“すず(Sn)”に代表される。
・ちゅう密六法格子・・・六法体を形成する原子配列で、形状の制約から、常温では極めて成形が難しい。“マグネシウム(Mg)”に代表されるように、加工方法は鋳造がそのほとんどを占める。
③板金加工の原理・・・・金属材料に力を加えると、材料は原子配列が変化し、よって変形する。戻そうとする内力をこえると、(元に戻れる範囲の)弾性変形に加えて、(戻れない)塑性変形が生じるため変形する量が加速する。板金加工では、必要な変形が得られるまで、耐力を超えた大きめの力をかけるが、一方で変形が進みすぎることからくる破断を逃れるため、“金型”を用い、必要以上の変形が進まないように加工を行う。こうした加工段階での余分な荷重は、材料に応力を発生させ、その応力を加工材内部に取り込んでしまうことで、精度の素材変形が得られる。
④金属材料の違いと溶接・・・板金加工のし易さの程度は、材料自体の構成(結晶格子)で決まります。また最近の各種金属材料は合金元素を微量調整しながら含ませることで、成型加工性や溶接組立のやり易さに違いを生じさせています。例えば、鉄に炭素を含んだ“鋼”や、更に元素を添加した“合金鋼”では炭素の量が多くなるに従い材料は硬く強くなっていき、伸びが少なく板金加工が難しくなっていきます。またそれら炭素量の多い鋼を高温加熱→冷却させる“焼入れ処理”をすると、硬度・耐性は高められますが溶接部の性能低下をまねきます。また材料強度の小さいアルミニウムでは、加工硬化を求めたり、合金元素の添加で必要強度を得たりしていますが、それでも棒や板といった形状によって加工性が異なってきます。このように、板金加工においては、材料によって加工や溶接の際に生じる材質変化は多種多様で、各々の特性に合った加工法や溶接法、溶接材料の選択が必要となります。
⑤板金加工における接合技術・・・板金加工における接合技術は、加工した部材を組み合わせ、製品化する上で重要です。ものづくりにおいて、いろいろな接合技術を理解し、最適な方法を選択し有効利用することが必要不可欠です。組み立てのための接合方法には、大きく以下の3つの方法があります。
(1)機械的接合法・・・ボルトやリベットを利用して接合する方法
(2)冶金的接合法・・・溶接やはんだ付けなど金属材料の持つ特性を利用して接合する方法
(3)接着剤接合法・・・各種接着剤を利用して接合する方法 但し、各々の接合法には、特有の利点・欠点を併せ持っています。これらの接合方法を製品組み立てに使用する場合、
1)製品に要求されている品質が得られること
2)接合によって発生する問題点が許容をこえないことの2点が満足できるような方法や条件を選択することが必要です。逆に言えば、それら2点を満たせばよいのであって、例えば必要性を大幅に超えて強固な溶接をすることは、場合によってはオーバースペックとなることもあります。従って、場合によっては二つ以上の接合方法を組み合わせて使用し、各々の利点と欠点とを補うような方法も有効です。
①鉄・・・鉄は最も広範囲の用途において使用される材料です。ステンレスに比べ“錆びやすい”という短所はありますが、塗装やメッキという表面処理を施すことによって、それを打ち消すことができます。長所としては、材料の流通性が高いため入手しやすく、安価であることが挙げられます。弊社のような板金加工業においてよく使用する鉄の種類としては、SPCC(冷間圧延鋼板:通称 ミガキ)、SPHC(熱間圧延軟鋼板:通称 酸洗・黒皮)、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板:通称 ボンデ)、SS400に代表されるSS材などが挙げられます。 1kg当りの平均価格帯は、スケッチ材(定尺材を鋼材問屋などが注文寸法にカットした材料)で大よそ140~180円です。
②ステンレス・・・ステンレスは鉄に続いてよく使用される材料です。その用途は広く、食品業界・薬品業界はじめ様々な分野で、標準的に使用されています。ステンレスの第1の特長はSTAINLESS STEELの名前の通り“非常に錆びにくい”ということです。流通性も高く、溶接加工にも適しているため板金加工業ではよく使用される材料です。通常、表面処理加工についてはバフ仕上等の研磨処理を施すのが一般的ですが、場合によっては塗装することも可能です。ステンレスは中に含まれるニッケルとクロムの含有量によって、304・430等いくつかの種類に分けられます。それぞれの特徴としてSUS304は18-8ステンレスと呼ばれるように、18%以上のクロム、8%以上のニッケルを含有する金属で耐食性に非常に優れていますが、ニッケルを含む為、コスト的には割高になります。一方SUS430は13クロムステンレスと呼ばれるように13%以上のクロムを含む金属であり、耐食性には優れていますが、SUS304と比較すると落ちてしまいます。しかしコスト的には割安です。弊社においてよく使用するステンレスの種類としては、SUS304-2B 材ならびにヘアライン処理材・SUS430-2B材/ヘアライン処理材などがあります。2B、ヘアラインとはステンレスの表面処理の一種で、2Bは適度な光沢を与える冷延圧延をしたもの、ヘアラインは240番程度の研磨ベルトで髪の毛のように長く連続した研磨目をつけたものです。また、焼入処理することで大きく硬度を上げ、耐工具用途を満たすことができるSUS420-J2のような高級素材もあります。1kg当りの平均価格帯は、スケッチ材で大よそ5006~800円です。
③板厚・サイズについて・・・鉄の場合よく使用されるのは、厚み0.6、0.7、0.8、1.0、1.2、1.6、2.0、2.3、3.2ミリのもので、一般的に0.8ミリ厚のものを“レーハチ”、1.2ミリ厚のものを“テンニ”などと呼びます。大きさで標準的なサイズのものは、定尺材と呼ばれ、3尺(フィート)×6尺(フィート)、4尺×8尺の2種類が最も市場性が高いです。(5尺×10尺のものもあるが、市場性は上記のものに比べ低い) 1尺(フィート)の長さは約303cmであり、通称3’×6’を“サブロク(ザイ)”、4’×8’を“シハチ(ザイ)”と呼びます。ステンレスの場合よく使用されるのは、厚み0.6、0.8、1.0、1.2、1.5、2.0、3.0ミリのもので、定尺もm(メートル)単位が主流となっています。
④その他、当社でよく使用する素材について・・・
(1)ZAM・・・高耐食溶融メッキ鋼板と呼ばれ、日新製鋼社の製品名称になります。亜鉛(Zn)マグネシウム(Mg)アルミニウム(Al)にて表面処理は形成され、それぞれの頭文字からZAMという名称がつけられました。Zn+約6%のAl+約3%のMgのメッキ層を保有し、優れた耐食性を保有しています。後で紹介する、ペンタイトBに比べ、10~20倍の耐食性を保有している特徴があります。AlとMgの効果で、時間の経過とともに緻密で、付着性の強い保護被膜がメッキ表面に形成され、これがメッキ層の腐食の進行を抑制している事により、優れた耐食性を保有しているのです。また特に際立った、この製品の特長として、切断端面部においても、耐食性を発揮するといった事が挙げられます。メッキ層から溶け出した、Al,Mgを含む亜鉛系の保護被膜が端面部を覆う事により、耐食性を発揮するのです。当然材料そのもののコストは高くなりますが、トータルコストを考えた中でのメリットは十分にある製品だと考えています。
(2)亜鉛鋼板・・・亜鉛鋼板は大きく2種類に分類されます。一つは電気亜鉛メッキ鋼板(一般的にボンデの通称で呼ばれるもの)、もう一つは溶融亜鉛メッキ鋼板になります。電気亜鉛メッキ鋼板はメッキ層に鋼板をつけ、電気を介し、亜鉛メッキ層を形成する方法で、亜鉛を薄く均一に付着出来る利点があります。また塗装性もよく、一般的によく使用されている材料となります。一方、溶融亜鉛メッキ鋼板は高温で溶けた亜鉛層に鋼板をつける方法で生産され、電気亜鉛メッキ鋼板に比べ、防錆力は強くなります。また溶融亜鉛メッキ鋼板はその中で2種類に大別され、亜鉛処理後、冷却させただけのものをシルバージンク(ペンタイトB、通称ジンク)、冷却後加熱処理をし、合金化させ、塗装の密着性を高めたものをアロイ(ペンタイト、通称アロイ)と分類されます。使用用途、価格、様々な条件の中で、最適な材料を選択する必要があります。
(3)アルミ・・・アルミニウムの特長は大きく3点あげられます。非常に優れた防錆力、軽さ(比重は2.7でSPCC(7.85)に比べ1/3の比重)、強さ(比強度(単位重量あたりの強さ)が鉄鋼の2倍程度)があげられます。そのようなアルミニウムの中で、我々のような板金加工でよく使用する材料はA1050、A5052の2種類があげられます。A1050は99%以上のアルミニウムで出来ており、耐食性に非常に優れますが、強度の観点からはアルミ合金の中では優れません。その点バランスのとれた、A5052が一般によく使用される材質になります。
板金加工では、接合技術の中でも、材料を溶かして接合する“溶接”が中心的に利用されています。溶接とはおもに2枚の板を“くっつける”ことを指します。金属同士の接合部を高温の熱や圧力を加えることによって部材と部材を接合する加工のことです。例えば、紙で箱を作る場合の“のり付け”にあたるもので、スチール・ステンレス家具等の板金加工においては必要不可欠な作業です。材料の種類・板厚・その他様々な条件により、設備や溶接の種類は大きく異なってきます。例えば、溶解温度の異なるスチール・ステンレスとアルミ材では、適した溶接設備も違ってくるわけです。溶接の歴史は古く、弥生時代の銅鐸からも溶接の痕跡が発見されています。溶接では材料を加熱する手段として、様々な熱源が利用されています。可燃性ガスを利用する“ガス溶接”と電気の抵抗発熱を利用する“電気溶接”に大別され、主流である電気溶接の中でもアーク放電で発生する熱を利用した“アーク溶接”が最も広く利用されています。
このアーク溶接は、溶接される金属母材に対応する金属電極棒が溶けるか溶けないかによって大別され、溶けない“ティグ溶接”がよく利用されています。また最近では、アークのように電気的なエネルギーではなく、光を利用する“レーザー溶接”もその長所を生かしてよく利用されてきています。いずれにせよ、接合方法の選択と同様、これらの溶接法を長所と短所を見極めながら、作業者のスキルも鑑みて、上手に使い分けることが重要です。
①溶接の種類・加工機・・・ここでは、主に当社の板金加工業で使用されている溶接の種類その他についてご紹介します。
(1)アーク溶接・・・電気のアーク放電を利用し、同じ金属同士を繋ぎ合わせる溶接方法の事です。アーク放電によりもたらされた高熱で接合したいワークを溶かし接合します。電気溶接と呼ばれることもあります。
1)CO2溶接・・・溶接棒といわれる針金のような材料を溶かすことで、ワークを接合させる方法で、接合部分は盛り上がり(肉盛り)、後でサンダーやグラインダーで平坦にします。
2)アルゴン溶接・・・当社では、おもにステンレスの加工に採用しています。2枚のワークを溶かしながら接合する方法です。
3)TIG溶接・・・アーク溶接の一種。融点の非常に高いタングステン棒(Tungusten: 金属元素の一つ。融点は摂氏3400度ほどである。)からアークを出し、その熱で母材を溶かす。半自動溶接と同じようにシールドガスを用います。溶加材を足すことも可能で精密板金の溶接に向いています。しかし溶着金属を付加するために左手で溶接棒を添加しなければならないため熟練技術が必要とされます。
(2)スポット溶接・・・スチール家具においては最もよく使用される溶接方法です。 上下のくちがねと呼ばれる部分に2枚の板を挟み込み、圧力をかける事によって 接合させます。接合部は“点”状になります。
(3)レーザー溶接(YAG溶接)・・・レーザー光により2枚の薄鋼板を高い精度でつなげることが可能であり、連続溶接に最も適した設備です。当社では、ステンレス材の水漏れ防止、曲線連続溶接等の従来手間が掛っていた作業も容易にできるようになりました。
②溶接に伴う仕上作業・・・
(1)サンダー仕上:溶接後の仕上のために円盤状になった研磨機で、面をならす作業。サンダー機器は、溶接面の研磨の他、切断等の用途にも用います。
(2)グラインダー仕上:砥石車を回転させ、研磨を行う工作機械です。サンダー後に行い、グラインダーは溶接面のより細かな面仕上作業に用います。製品のバリ取り加工等にも使用されます。
塗装の目的・特長:塗装の目的(期待される効果)は大きく次の3つに大別できます。
①防錆(物の保護)・・・塗料は、物の表面に塗装すると丈夫な被膜となって物を保護します。鉄は、素地のままでは錆が発生し、物の劣化・損傷が発生、放置していると構造物の破壊や環境悪化等の重大な問題につながる可能性があります。ところが、塗装をすることによって、表面を保護し、物を何倍にも長持ちさせることができます。また塗装(塗料)は、補修、塗替えといった比較的簡便な方法で物の長期保護をすることができるのも特徴です。
②装飾(物の美粧)・・・“物の保護・美粧”という面から見れば、塗装の特長(長所)としては、大きく以下のようなものが挙げられます。
(1)簡単に施工ができて色彩が豊富 (2) 物の形状や寸法、重量に変化を起こさせない (3)塗替え(修復)が比較的簡単 (4) 他に比べると設備が少なくてすみ単価が安い
③塗料より塗膜になるしくみ (塗料⇒塗装⇒乾燥(硬化)⇒塗膜の変化について)
・酸化乾燥型・・・樹脂分が空気中の酸素を吸収して酸化することにより重合が起こり、網目構造を形成する。しかし、網目構造が粗いので塗膜性能はそれほどよくなく、また、網目構造が完成するまでに長時間かかるため、自動車用上塗りとしては使用されていないが、プライマーやサーフェイサーとしては、一部使用される場合がある。【例】:『油性調合ペイント・合成樹脂調合ペイント等』 揮発(蒸発)
・乾燥型・・・塗膜中の溶剤が蒸発して塗膜となるもので、樹脂分子の結合(網目)が起こらない。したがって、シンナーで拭くと塗膜は溶解する。一般には、ラッカー系塗料の乾燥機構である。【例】:『ラッカーエナメル・塩化ビニル樹脂塗料等』 重合乾燥型・・・当社の塗装はこれに該当します。
1)熱重合乾燥・・・ある温度(一般には120℃以上)に加熱することにより樹脂の反応(重合)が起こり、緻密な網目構造を作るため、塗膜性能は優れており、完全乾燥して網目構造が完成すると、溶剤(シンナー)に溶けなくなる。【例】:『アミノアルキド樹脂塗料(メラミン樹脂塗料)』、『アクリル樹脂塗料』
2)2液重合乾燥・・・主剤(塗料ベース)と硬化剤(ハードナー)を混合することにより樹脂の反応(重合)が起こり、網目構造が形成される。この反応は常温でも進行するが、温度が上がると反応速度が速くなる。作業効率の面から通常は、40~80℃で強制乾燥を行う。尚、網目構造は熱重合タイプと同様に緻密なため、塗膜性能は優れている。【例】:『エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料』
①NCターレットパンチプレス加工・・・NCターレットパンチプレスとは「多数の金型が装着可能な、円盤状のタレットと、ワーク(被加工体)を保持するクランプ等とを数値制御(NumericalControl)し、ワークの所定の部分に、穴あけ加工、成形加工等を行う機械」を指します。“1枚のスケッチ材から1つの部品を加工する方法”と、“1枚の原板(定尺材)から複数の部品を加工するネスティング(板取)加工”とがあります。前者は歩留まりが少ないのが特徴ですが、加工部品が変わる度に、NCデータの入力が必要になってきてしまいます。一方後者の方は、一度のデータ入力で複数の部品が加工出来るメリットがありますが、歩留まりの問題があります。製品により、最適な加工方法を選定し、加工する事が必要となってきます。
(1)作業の手順・・・NCタレットパンチプレス加工は、基本的に以下のような手順・要領で行います。
1)生産納期の確認・・・生産計画・作業指示書・で納期・順序を確認します。
2) 鋼材受入検査・・・材質・板厚・枚数の他、たて・横・対角の寸法を確認します。
3)NCデータ入力・・・PC端末にてNCデータ(数値)入力を行います。
4) 金型セット・・・CAM発行の作業指示書に基づき、金型を選択、上下位置の確認を行いタレットにセットします。
5) 試し加工・・・材料を機械の当たりに当てながら、X/Y寸法を目視確認、テスト加工を行います。加工後は寸法他の検査を行います。
6) 加工バリ対策・・・0.2mm以上のバリ発生はクリアランス(上下の金型の隙間)の変更など、代替金型で対応します。
7) 加工・・・加工とともに検査を行います。検査の記録はチェックシートに記載されます。8) 識別・移動・・・加工後の完成部品は、現品票で識別され、曲げや組立等の次工程へリリースされます。
(2)よく使われる用語
1)ガイドマーク:ワーク上面や下面にガイドやストリッパーによってつく傷の事を 指します。一般的に押える圧力が強い場合は円形のマークがつき、片押えになっている場合には三日月状のマークがつきます。
2)カエリ(バリ):ワークせん断切り口面に生じる小さいまくれの部分のことです。手に触れる部分に残っているとケガにつながる恐れがある為、取り除く必要あります。
3)さん幅:抜き穴の隙間のことを指します。さん幅が必要以上ないと、さん部にねじれや変形が発生します。通常スチールやアルミ材で板厚の2倍以上、ステンレスで4倍以上の幅が必要です。
4)ノックアウト:ワークを板厚分抜くが、一部を母材に繋ぎ止めて結合しておく加工方法。必要に応じて、現地で簡単に取り外しできるようにしておきます。専用のノックアウト金型(通常丸型)が必要です。
5)ダボ出し:ワークに球状の突起をつける加工を指します。
6)ネスティング:CAMによるNC加工機への指示で、シートのワークくり抜きの 割り付けのことを指します。
7)半抜き(ハーフパンチ):ワークを板厚の半分程度抜く加工方法。主にスポット溶接等の位置決め、当たりやストッパーといった用途で用いられる加工方法です。
8)バーリング:ワークを筒状に絞る加工です。主に内径にタップ加工をするために 用いられる加工方法で、専用の金型をセットして加工します。
9)ビーディング(ビードだし):板材の補強、すべり止め等の目的でワークをビード状に絞る加工方法。短いビードは単発、長いビードはニブリング加工で成形します。
10)ミクロジョイント:いわゆる“多数個取り”の際に、1枚のシートで数多くの部品を加工する場合の、部品を繋ぎ止めておく方法のことをいいます。
11)面取り:NC加工後に、カエリが無くなる様、端面を滑らかな状態に削ることです。特に、ワークの抜き穴、端面等に面取りを行う加工のことを“C面取り”といいます。
②レーザー加工・・・レーザーとは(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)の頭文字を合わせたもので、「放射の誘導放出による光の増幅」という意味です。レーザー加工とはその名の通り、光のエネルギーを小さな面積に集約させる事により、大きなエネルギーを発生させ、ワークを溶融する加工のことを指します。NCタレットパンチプレスでは、加工が困難な厚板シートの加工や曲線などの複雑な形状のカット・切欠き・穴あけ加工に適しています。周囲を抜き取る“外形抜き”をすれば高い寸法精度を得ることができ、カエリ(バリ)もほとんど発生しないので、精密板金に最適な設備といえます。
③シャーリング加工・・・シャーリングとはいわゆる“切断”のことです。当社では、切板(スケッチ材)からの加工だけでなく、原板(定尺材)から必要寸法にカットすることも可能です。 特にSPCCやSECC等のよく使用するスチール材については、“社内切り”することが 多いです。(ステンレス材は、基本的に社外切りにて対応しています) 切断の際に大切なのは、“きちっとした寸法を出すこと”です。たて、横、対角の寸法を出し直角を出すことが要求されます。 また昨今のリードタイム削減の需要にレスポンスするには社内でのシャーリング対応が必要不可欠になっています。
④プレスブレーキ(ベンダー)による曲げ加工・・・通常、金属板を一定角度で直線的に曲げる加工には、プレスブレーキ(ベンダー)を使用します。この機械では、機械フレーム下部にV溝加工されたメス型(ダイ)を固定し、このメス型に上下するオス金型(パンチ)を押し込んで加工を行います。
・作業手順
1 )目的の曲げ作業に合う金型を選択する
2)メス金型を下部台座へセットする
3)メス金型のV溝にオス金型の先端が適切に合うようにオス金型をセットする
4)メス金型上に置いた板材表面にオス金型刃部先端を近づけて曲げ線を合わせる(もしくは位置を精度高く設定できるバックゲージを利用する)
5)曲げ過ぎないよう、第1段目の予備曲げを行う
6)第1段曲げの角度を計測、スプリングバック戻り量などを考慮し、第2段階曲げを行う。
ベンダー加工とは、いわゆる"曲げ加工"のことで、その加工機をNCベンダー(ベンディング)マシン、プレスブレーキと呼びます。NCに板厚、曲げ角度、曲げ寸法、などを入力することによって、精度の高いベンド加工がなされます。基本的にNCタレットパンチプレス工程の次の工程となることが多く、次工程は、組立溶接工程になることが多いです。ロッカー・筐体などのスチール家具における溶接組立のし易さ、完成度は、この曲げ加工の精度(できばえ)に拠るところが非常に大きいといえます。言い換えれば、いかに直角や指定角度に曲げることができているかが大切になってきます。最近導入したハイブリッドベンダー機は、上流CAMからの加工指示によって、曲げ加工情報(データ)が送信され、送られたデータ手順通りに作業すれば、イージーオペレーションが実現できる優れものです。
・ベンダー加工は基本的には以下のような手順・要領で行います。
1)納期の確認・・・生産計画・作業指示書で納期・順序を確認します。
2)加工部品受入検査・・・加工部品の員数・状態を確認します。
3)金型セット・・・折曲形状に適正の加工可能な金型の選択を行います。
4)加工データ入力・・・図面に基づいて、寸法・角度の入力を行います。(データ記録活用)
5)試し加工・・・試し加工を行い、品質確認を行います。
6)加工・・・加工とともに検査を行います。検査の記録はチェックシートに記載されます。
7)識別・移動・・・加工後の完成部品は、現品票で識別され、組立や塗装などの次工程へリリースされます。
(2)よく使われる用語:色々な曲げの種類
1)直角曲げ:ワークを直角に折り曲げする加工のこと。
2)Z曲げ(切起こし):ワークをZ型状に切り曲げすること。
3)へミング:いわゆる“ぺしゃげ”。主に安全面向上のために一旦折り曲げしたり、バーリング加工した後に再度つぶし曲げをして2枚の板厚を重ねるようにすること。 カーリングともいいます。
4)箱曲げ:ワークの4辺を同一方向に曲げ、箱状にすること。
5)V曲げ:加工断面がアルファベットのV字状になる曲げ加工のこと。
6)ロール曲げ
*機械板金において、板材を加工しパイプ状に成型するような曲線曲げ作業には大きく二つの方法があります。
・専用の3本ロール成形機を使って成形する方法 ・必要角度の曲げを1~2mmの間隔で連続して行う方法(追曲げ、送り曲げ)
7)バックゲージ:ベンダーマシンにおいてワークの位置決めをするための後ろのストッパー、当たりのことを指します。
①QCD・・・品質(Q:quality)コスト(C:cost) 納期(D:delivery)のこと。顧客満足を図る上での重要要素。
②QMS・・・品質マネジメントシステム(Quality Management System)の略であり、製造物や提供されるサービスの品質を管理監督するシステム。ISO9000シリーズの2000年改訂版等から採用されるようになった概念であり、品質管理を中心とした組織活動において、顧客満足を達成し、継続的な改善を意図する考え方である。
③5M・・・製造の管理項目として5M管理と定義している。・・・作業者(M:man) 設備・治工具(M:machine) 部品(M:material) 方法(M:method) 検査・測定(M: measurement)
④PLM・・・Product Lifecycle Managementの略であり、工業製品開発の企画段階から設計・生産・出荷後の顧客サポートまでの一貫したプロセスにおいて、製品を包括的に管理する手法。
⑤EMS・・・ 環境マネジメントシステム(Environment Management System)の略。組織や事業者が、その運営や経営の過程において、自主的に環境保全に関する取り組みを進める際、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの 達成に向けて取り組んでいくことを意図する考え方。
⑥Qマニュアル・・・ ISO9001:2008の要求事項で、QMSに必要なプロセス及び組織への適用範囲及び、順序と相互関係を明確にするとともに、活動の有効性判断基準や方法を明確にした文書。
⑦5現主義・・・物事の原因調査に関わる姿勢を、現物・現場・現状を見て(診て)調査する。これに原理・原則を加えて5現主義という。
⑧SQC・・・統計的品質管理(Statistical Quality Control)の略。検査・測定された製品のデータを元に、集団の個々の構成要素の分布を調べ、その集団の属性を数値的に把握し工程の実力を見て、必要であれば改善を実施する、品質管理の手法。
⑨正味時間生産性・・・生産効率を図る指数の一つで、付加価値金額を総労働時間で割った値であり、単位は円/時間で表す。
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